何故か友人にこの本読んでみてと言われた本を読んでみました。
友人は読んでないのに「面白くて、きっと萌えるよ」を言われました。

読んでみて想った事は非常に重かったです
小説読んでてこんなに泣きそうになった事は始めてです。
お話ってたいがい結末に涙をそそるものな気がしますが、そうじゃない小説でした。
部分部分で本気で泣きそうになりました。
何で生きてるのか何で生まれてきたのか、何処で間違ったのか、間違ってすらいないのか。
考えさせられます。

可哀想では言い切れない悲しさ。苦しみ。軋み。痛み。
それが重くてね。
人の人生って何だろうと考えさせられるものがありました。

ネタバレ有りなので、これから読むという方は読まない方が良いかもしれません。
でも、エロいしグロいしバイなのでそういうの苦手な方は本自体を読まない方が良いかもしれません。
精神的に痛いのが嫌な方も読まない方が良いです。
やくざと刑事の話です。

凄い長編で、物凄いミステリーです。
その時点げうげろーな方もいらっしゃいそうですが読みやすいです。
ただ、重いです。

筋が2本あって、冤罪で逮捕された少年の過去の話。
そして、現在その少年がいる世界で起きたヤクザの死を刑事が捜査する話。

ヤクザの死を担当する刑事が、冤罪で逮捕された少年を担当してた刑事でリンクされるのですが少年がね痛いのよ、もう。
冤罪なんてテーマにしてるのだから当然なのでしょうが、描写が細かくて訴えてくるものがあって冤罪で逮捕された少年練の心理がね、駄目でした私。

練は優秀な大学生で、ある日いきなり身に覚えのないレイプ事件で逮捕されてしまう。
目撃者がいると警察に揺さぶられ、ひどい目にあいながらも耐えるが1日取調室にいるうちに「認めてしまえば、簡単にもとの生活に戻れる」と言われ頷いてしまう。
しかし、彼はただの学生。
それがどういう事かわからず、酷い目にあい耐えられなくなったからこそうなずいたからであって本心ではない。
裁判が始まり彼は気付く。
このままではしてないのに犯罪者になってしまうと、裁判官の「やったのか?」という質問に「やっていない」と答えそんな事を聞いていない弁護人は戸惑ってしまう。
それが彼にもわかり彼は自分の味方などいないんだと絶望してしまう。
彼には「懲役2年」という実刑が判決される。
本来認めていれば、反省の色ありという事で執行猶予がつくのだが、「していない」と言ってしまった事で執行猶予がつかなくなってしまう
彼は全てに絶望して「俺がやったんだ。はははは」と笑い裁判所を後にする
本来3回まで出来る裁判を彼達の母親は「もうやめてくれ」と懇願し彼は刑務所に入る。

冤罪で。

刑務所に入り、女の様に綺麗な彼は男達の玩具にされ生きていく。
外にでても全てを失っている彼は外にでたいとも望まない。
田舎には帰ってくれるなと母親に言われ手切れ金の300万円を渡され彼は故郷を失う。

全てを失う。

そんな彼のストーリー。
重すぎる重すぎるよ。
痛々しいのよ、どうしようもなくて男にSMクラブで限界まで体を酷使して生きていくんだけど、それが嫌になって死のうとした所をやくざに拾われる。
そこから、現在に至るんだけど今生きている彼も絶望が濃くて泣きそうになってくる。

生きている意味なんてないんだと。

でも、誰もそんな事ないよなんて軽々しくいえない人生だから余計に痛い。
全てが過ちだったとしても、もう彼は刑務所からでてる。
そして生きていくためには沈んで沈んで歩いていくしかない。

そこだけ見たら刑事は何ていうやつなんだと言った感じだけど、別に冤罪起した刑事もちっとも悪くはない。
状況証拠は全て揃っていた。
だから起訴した。

刑事は不真面目でもなかったし、むしろ優秀だった。

そんな刑事が練と再び出会い、信じられない変貌を目にする。
執行猶予がつく、そう信じていた。
そうじゃなかったら、あまり刑務所になどいれたくない容姿だった。おもちゃにされるわかっていた。
でも、彼は自分が犯した罪によって刑務所に入り人生を変貌させていた。

間違っていたなんて思っていない。
それでも間違っていたのだと思わさせられる証拠や、そして練に関ってしまう。

刑事も最後は何もかも失うんですよ。
練のせいで、自分が刑事だというせいで、自分が強かったせいで。

本当に重たいです。

練がでた後、弁護士があの時の事件は冤罪だったと彼のお姉さんと調べまわってるのに悲しくなった。
弁護士は練を最後まで信じれなかった。それを悔やんでいる。

でも、今の練にはもう関係ないし、関ろうともしないし、自分が冤罪であったとしてもどうでもいい

あの時信じてくれなかったからもういい。
もう今になってそんな事言われても自分はやくざな人間になってしまっている
そちらの方が罪になりかねない
だから、どうでも良い

そして、被害者のレイプされかけた女もね。
「冤罪だった、練は関係ないのにお前はそれを証言した。それで人の人生が180度かわった」そういわれて、精神病棟に入ったという追記があるんですよ。

誰にとっても何一つ良い事を生んでいない事件。
冤罪。
起したくて起したわけではないし、あの時の最善だったはずなのに人の人生を全て捻じ曲げてそれでも生きていかなければいけない。
凄い重たいなと想いました。

最後は結局平行線なのよね?
人の人生はそんなに簡単に変化しないという事かしら。
人生に絶望した男の話。

何かこのお話の主要メンバーって何故か皆格好良さそうよね
そんな描写ちっともないんだけれども、私及川は絶対格好良いと想うわ。
目つききつい鼻筋しっかりした顔が何故かずっと頭に浮かぶのよ。

もう1つ。
別にゲイだろうがレズだろうがバイだろうが気にはしないけれども、女刑務所の中でレズに走りたくなるものかしら?
男の人はわからないけれども、女の人って男より理性が働きそうな気がするんだけど。
でも、推古天皇とかは男を知ってそれしか考えられなくなったともいうし。。。うーん。
でも、もし自分が今捕まって無期懲役だったら女の人とでも良いから恋愛したい体を重ねたいと思うのかしら?
微妙だわ。

そんな描写がこの小説あったのでね。

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